2006年01月25日

eπi+1=0、愛の数式。

小川洋子『博士の愛した数式』小川洋子原作の映画『博士の愛した数式』を観にゆきました。
小川洋子さんの書く静謐で濃密で奇妙な世界がだいすきなのですが、映画化となるとどうなのかしら? 原作の完成度が高いだけに、どきどき、そしてわくわーく。
始まってみると、なかなかの的役キャスティングが次々登場。
  家政婦・杏子深津絵里
  博士寺尾聰
  √ (ルート)吉岡秀隆
  義姉浅岡ルリ子
絶妙です。


お花見しましょう。事故のせいで記憶が80分しか持たない天才数学者の博士と、彼の身の周りの世話をすることになった家政婦・杏子とその息子・ルートの驚きとよろこびの日々。
博士と会う度に自己紹介をしなくてはならないのですが、有能な家政婦である杏子と爛漫なルートは阪神タイガース、江夏豊、そして潔い数字や控えめな数式をキーワードに、博士との時間をかけがえの無いものに作りあげてゆきます。
原作でもそうでしたが、数学への愛を語る博士の言葉のうつくしいこと。 
それはとても豊かで、深い慈愛に満ちています。 
博士が数式を解説する時、なにかうつくしい芸術品や天体について語っているようです。
数字がこんなにもロマンティックなものだなんて、知りませんでした。
√先生。そんな博士から教えを授かり、自身も数学の道を志すこととなるルート
彼もまた博士同様に知識だけでなく、想いを伝えることを大切にする、すてきな数学者、魅力的な大人になります。
高校生と思われる生徒を前にして「大切なのは、ここ(こころ)でみること。」
おお、こんな教えを説く数学教師がいるならば、是非とも教わりたい! 
苦手な数学に対するイメージが180度すっかりと変わってしまいました。
こんな先生に会いたかったな、中高生の頃にー。


博士、杏子、√。主要3人は勿論のこと、いつも悲しみをたたえたえ3人を見守る(見張る?)謎の未亡人、謎めいた義姉役のルリ子が素晴らしいのです。
見ていて痛々しいほどの彼女のストイックな愛し方は、博士の変わらない愛情で少しずつ、少しずつ変わってゆきます。
博士が彼女に捧げたオイラーの公式は「記憶は不完全でも、愛は決して変わらないよ。」と言っているようでした。


最後に添えられたウィリアム・ブレイクの詩がまたすてきでした。
原作、映画、ともに素晴らしい作品です。


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Posted by ケロンパ at 23:28│Comments(4)love love cinema.
この記事へのコメント
博士の愛した数式、ご覧になったんですね。

 何か、日頃デジタルの生活が進んで行く中で、、、
 心温まる、メッセージが込められている映画でしたね。。。

 数字がこんなに詩的で美しく捉えられているって
 数字の持つ不思議さにとりこにされた、空間でした。

 日記頑張って続けて下さいね。

 sunny

 
Posted by sunny at 2006年01月27日 22:31
  <sunnyさんこんばんは、はじめまして。
sunnyさんもご覧になられたのですね。
映画、とても素晴らしかったですね。
素晴らしい映画はわたしたちのささやかな日々を豊かにしてくれます。
これからもそんな映画に出逢えますように!

ささやかな日々をささやかに綴っているだけの日記ですのに、あたたかいお言葉どうもありがとうございます。
とてもうれしく想います。
また遊びに来てくださいね!

                              苔緑
Posted by 苔緑 at 2006年01月28日 23:13
私も「博士の愛した数式」見に行ってきたよ。
久しぶりにもう一度みたい!って映画に出会えた。
本当にいい映画!
美しくて限りなく温かい。
博士の目に映る数学は本当に美しかった。数学って無機質なもの。
そう思っていた私の目からウロコと共に涙なみだ・・。
じんわりと温かい感動をもらいました。
苔緑さん、遅くなったけど紹介かいてくれてありがとう!!
すっごく嬉しかった^^。こころから感謝。
Posted by たみ at 2006年02月14日 01:19
  <たみさんこんにちは。
たみさんも「博士の愛した数式」を観たのですね、愉しんだのですね。
わたしも、数学って無機質なもの、感情的な要素が一切介在しないものだと思っていました。
ところが、ところが。
扱うひとのこころひとつであんなに豊かになるのですね。
不得手な数学のチャーミングな一面を識ることが出来ました。
もう一度、じっくりと観たい作品ですね。

『お隣布団』についての拙文、よろこんでもらえてうれしいです。
そして、おさむもうれしそうです。
Posted by 苔緑 at 2006年02月15日 18:21
 
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